ボット対策で広告運用を最適化|悪意のあるボットの理解から実例まで
Yukie
|Web サイト運用・セキュリティ対策 | 2025年6月19日
便利な機能であるボットですが、悪意あるものはデジタル広告のクリック詐欺や表示回数の水増し、架空のリード獲得などで企業に多大な損害をもたらすため、対策が欠かせません。損害が大きくなる前に、アドフラウド対策ツールなどでの排除が必要不可欠です。
ボットとは?
ボットとは、特定のタスク(作業や操作)を繰り返し実行するようにプログラムされたアプリケーションのことです。インターネットユーザーにとっては、「検索エンジン」や「チャットボット」など、便利なツールとして利用される良性のボットがほとんどです。
しかしチャットボットのように顧客との対話を通じて企業の業績向上に貢献する有用なものがある一方で、広告費を浪費させる厄介な存在として認識されるケースも多くあります。
本記事では、広告の表示回数を示すインプレッションを不正に水増ししたり、クリック数を捏造して広告費を不当に増加させたりする、悪質なボットについて取り上げます。近年では、AIの進化によりボットも高度化し、人間と見分けがつかないほど精巧なものも増えており、対策は容易ではありません。
広告運用を蝕むボット感染の被害
ネット時代になり、新聞など紙媒体の広告に代わり存在感を増したデジタル広告ですが、インターネットの利便性を悪用した広告詐欺がまん延しています。
クリック詐欺
クリック詐欺は、悪性のボットがクリック課金型の広告に不正なクリックを繰り返し、過剰な広告費用を発生させる広告詐欺です。広告にクリックを繰り返すようにプログラムされた「クリックボット」は、IPアドレスを変えて大量のクリックを発生させるため、多くの人間がさまざまな場所や時間、端末から閲覧しているかのように装うことができます。
不正インプレッションの水増し
表示された回数によって費用が発生するタイプの広告に対し、不正にインプレッションを増加させて無駄な料金を発生させるタイプの悪性ボットも存在します。経費だけでなく、不正インプレッションで水増しされたデータに基づいて広告戦略を立ててしまうと、PDCAサイクルが機能しなくなるおそれがあります。
スクレイパーボット
WebスクレイピングとはScrape(かき出す)という言葉が由来です。Webスクレイピングは、適切に使えばデータ収集を自動化して分析するなど便利な技術ですが、悪質に利用されると、サーバーに過度な負荷をかけたり、取得したコンテンツを無断で転載して著作権法に抵触したりするリスクがあります。そして収集したデータをもとに偽サイトを作成してフィッシングなどを行えば詐欺にあたります。
ボットスクレイパーによるコンテンツ盗用や著作権侵害などによってGoogleのガイドラインに触れると判断された場合、Googleペナルティ(SEOペナルティ)のリスクがあります。ペナルティを受けてしまうと、検索順位が急落し、インデックスが削除されるため、結果的に表示されなくなります
リード獲得詐欺
企業にとってリード(見込み顧客)獲得は重要です。ボットによる偽のリード獲得で不正確な情報が作成されてしまい、マーケティングデータが汚染される被害がリード獲得詐欺です。リード獲得詐欺は、ボットが顧客管理システムに入り込むことで発生します。偽のリードにマーケティングや営業の予算が浪費されることになるうえ、当然ながら商品の購入や会員登録といったコンバージョンにもつながらないため、広告の価値が毀損されます。
ボットを見抜くために実践すべき検知と排除の方法
広告担当者にとってボット対策は大きな課題です。担当者がまず行えることは、サイトの訪問回数がある時間だけ異常に多いなどトラフィックの監視と分析、アクセスログや不審IPの確認です。JavaScriptを解析して、ボットがWebサイトに侵入するたびに通知を受け取る方法もあります。また高度なボットを判別するのに有効なreCAPTCHAは、人間とボットを識別するのに有効です。AIを活用したアドフラウド対策ツールを導入するのも効果的です。
インターネット広告のビューアビリティ対策がボット排除に有効である場合があります。ビューアビリティとはウェブ広告でユーザーが閲覧できる範囲に表示された比率のことです。ボットはインプレッションを稼いでも閲覧しているわけではありませんので、そこで生じた広告費は無駄になってしまいます。ビューアビリティは表示時間や面積、視聴者との距離などによって測定され、近年ではAIを活用した有効なツールやサービスが登場しています。また悪性のボット対策は、同時にアドフラウド対策でもありますので、ボットを即座に検知して排除するアドフラウド対策ツールの導入が望まれます。
ボット対策で成果を上げた企業の実例
着物の買い取りで知られるバイセルでは、デジタル広告にも力を入れています。広告運用を続ける中で、ボットの不正アクセスでリスティング広告に影響が出たり、問い合わせフォームに嘘の情報が書き込まれたりすることがありました。当初、対策は手動で行っていましたが、CHEQ Japanから企業のWebサイトのアクセスのうち10~20%が不正アクセスであるというデータがあること、企業の偽サイトを作りユーザーのカード情報を盗み取る事件があるという情報を得て、何かあってからでは遅いので、同社ではCHEQの導入を決めました。
CHEQの対策ツールの仕組みは、広告のランディングページに計測タグを入れて、ユーザーの行動が一定の条件を満たした時にタグが読み込まれます。その際にIP情報や環境を分析して不正アクセスかどうかを判断。不正アクセスと判断されればブロックします。実際に導入した結果、導入後は100万円以上の広告費が節約でき、工数削減で人的リソースにも大きな効果がありました。
参照元:広告費の節約&最適化を実現!アドフラウド対策「CHEQ」がバイセルのデジタルマーケに欠かせない理由
ボット対策が広告運用にもたらすメリット
アドフラウド対策によって得られるメリットは次の三点に集約できます。
第一のメリットとしては、不正ユーザーを排除することで、真に情報を欲している人に広告が届くようになり、広告運用が効率化することです。その結果としてROI(投資利益率)が改善します。
第二のメリットは詐欺サイトや悪質なメディアとの接点が遮断されることによって、企業の評価やブランドイメージを守ることができます。適切なサイトに広告が表示されることで、ブランド毀損が生じにくくなります。
第三のメリットは、正確なデータでのマーケティング判断が可能になり、分析精度が向上することです。ボットによるクリック数やインプレッションの水増しがなくなることで、データが信用できるものになります。
まずはセキュリティ診断で自社の“見えない損失”を可視化
ボットには検索エンジンやチャットボットなどのように良性のものもあれば、不正アクセスをして広告費を無駄に増大させる悪性のものがあります。不正アクセスの被害はすぐに判明するものではありませんが、何か被害があってからでは遅いので、見えない損失を可視化することが大切です。
CHEQのセキュリティ診断は、不正アクセスがサイトにどれくらい影響を与えているのかを見える化できるので、対策ツールを導入していない場合はおすすめします。無料トライアルもできますので、ぜひ検討してみてください。
まとめ
進化するボットの中でも、検索エンジンやチャットボットのように良いはたらきをするものもあれば、不正アクセスで企業に損害を与えるものもあります。特にデジタル広告における詐欺的な広告費水増しは深刻です。不正アクセスを仕掛けてくるボットに対抗するには、CHEQなどのアドフラウド対策ツールを活用することが大切です。