アドフラウドとは?広告詐欺の種類や対策をわかりやすく解説
Yukie
|Web サイト運用・セキュリティ対策 | 2025年5月21日
アドフラウド(広告詐欺)は、企業の広告費を無駄にし、成果の伴わない広告配信を引き起こす深刻な問題です。たとえば、広告が実際には人間ではなくボットによってクリックされることで、広告費が不正に消費されてしまいます。日本国内でも、アドフラウドによる損失額は年間数十億円規模にのぼるとされており、見過ごせないリスクです。
本記事では、アドフラウドの基本的な仕組みから、日本企業で実際に発生した被害事例、そしてマーケターがすぐに実施できる対策方法まで、わかりやすく解説します。
アドフラウドとは広告詐欺・広告不正のこと
アドフラウドとは、広告の表示回数やクリック数などを不正に発生させ、広告費をだまし取る行為を指します。主にボットやスクリプトを用い、悪意のある広告業者やハッカーなどによって行われます。このような不正により、広告主は実際の成果に結びつかない広告に費用を支払うこととなり、効果測定やブランド価値にも悪影響が及ぶリスクがあります。
日本でのアドフラウドの被害
日本では、企業のデジタル広告費の増加に伴い、アドフラウド被害額も相当大きくなっています。
一方で、アドフラウド被害の発生を防いだ事例として、デジタル広告を多く展開している学校法人駿河台学園が挙げられます。駿河台学園では、一時期botや不正ユーザーによる資料請求や入学説明会の不正な申し込みが相次ぎました。
セキュリティの無料診断サービスを受けたところ、アドフラウドによる広告予算の損失は調査期間中だけでも約29万円で、年間に換算で約447万円分にのぼる可能性がありました。駿河台学園ではチェクジャパンの対策ツールを導入することで被害の拡大を阻止しましたが、デジタル広告を利用する企業は、アドフラウドによる被害が甚大になり得ることを理解する必要があります。
参照元:年間447万円の広告費が無駄に!? 大手予備校・駿河台学園が実践した不正コンバージョンへのアドフラウド対策
アドフラウドの種類
CSSを使った隠し広告
ユーザーからは見えないように隠し広告を配置することで、広告の表示回数を不正に増やす手法が発生しています。
ユーザーが目視できない程度の限られたスペースに広告を入れる、一見わからないように透明な広告を出すなど、Webサイトの見た目に関わるプログラミング言語であるCSSを使って巧みに表示をコントロールするのが特徴です。また、JavaScriptが併用され、より巧妙な不正が行われるケースも多くあります。
自動リロード
必要以上に広告を自動リロードすることでインプレッションを稼ぐのも、広告詐欺の手法のひとつです。広告が表示されているWebページ全体を更新するほか、スクロールにあわせて表示を自動更新するなど、複数のパターンが存在します。
近年では試聴時間の長い動画コンテンツを取り扱うサイトが多いため、自動リロードする広告を動画コンテンツに掲載する手法が増えてきました。
ドメインスプーフィング
ドメインスプーフィングは、有名で多くのユーザーが訪れるWebサイトのドメインを偽り、なりすましたサイトを作ることで不正に広告費を搾取する手法です。
なりすましサイトにデジタル広告が掲載されれば、コンバージョンが得られません。さらに、不正なサイトに広告が出ることで、広告主である企業の信用力の低下やブランドイメージの毀損につながります。
クリックフローディング(クリックスパム)
クリックフローディングは、実際には広告がクリックされていない状態でもクリックがあったと偽装する手法で、クリックスパムとも呼ばれます。
Botにより自動で行われるだけでなく、人力で行われるケースも確認されています。一定期間のクリック数が急激に上昇しているものの、コンバージョンにつながっていない場合、クリックフローディングが発生している可能性が高いと考えられます。
ファーム
ファーム(farm)は農場という意味の英単語ですが、アドフラウドでは大量に広告を表示したりクリックしたりすることで、広告費を不正に搾取する手法を指します。botやオペレーターを稼働することで、大量の広告表示やクリックを実現しているのが特徴です。ファームでは、日本で見かけない端末や古いOSが使われるケースが多くあります。
データセンタートラフィック
現在利用していないIPアドレスから広告に不正アクセスする手法が、データセンタートラフィックです。データセンターやレンタルサーバーに関わる人物によって行われます。
データセンターからの不正アクセスは、インターネット回線を通じて行われるユーザーのアクセスとはトラフィックが異なるため、以前はスムーズに発見できました。しかし、近年では一般ユーザーからのアクセスのように偽るデータセンターの事業者もいるため、見抜きにくくなっています。
インストールハイジャック
インストールハイジャックとは、利用者に被害をもたらすソフトウェアであるマルウェアを使用し、自動でクリックや広告の表示などをする手法です。マルウェアに感染させてハッキングすることで、ユーザーが閲覧やインストールをしていない間も偽情報を送信します。
インストールハイジャックが行われていると、短時間で過剰に広告のクリックやインストール、アプリの起動などが発生するのが特徴です。
アドフラウドへの効果的な対策
デジタル広告を活用する企業が効果的なアドフラウド対策を行うためには、最初に正しい知識を身につけ、発生が疑われる状況に素早く気づけるようにすることが大切です。広告配信データやアクセス状況をモニタリングし、不審なユーザー行動や過剰なトラフィック増加がないかを確認してください。
また、広告の配信先を精査することで、不正クリックが発生しやすいサイトに広告を配信してしまう事態を防ぐのも効果的な対策です。信頼できるサイトを集めたホワイトリストと、不正のおそれがあるサイトを集めたブラックリストを作成すれば、広告の配信先選定に活用できます。
アドフラウド対策に特化したツールの活用も有効です。ターゲットを絞って広告を出稿し、詳細なレポーティングで速やかに不正アクセスに気づけるツールを導入すれば、被害を防止できます。
例えばCHEQは、無効なトラフィックを排除しつつ本当のターゲットへ広告を集中させられるので、攻守一体の対策が可能です。
先述の駿河台学園の例では、上記ツールを導入するなど対策を行って半年後に、不正なコンバージョンは見られなくなりました。スタッフの業務負担が減少しただけでなく、データの信頼性向上により適切なマーケティング施策を実施できるようになり、対策ツールの効果を実感できています。
まとめ
デジタル広告を活用している企業は、アドフラウドの脅威を正確に理解して対策を行う必要があります。正しい知識を身につけたうえで、対策ツールの導入を検討してみてください。無効なトラフィックの排除や広告出稿先の選定、データ分析をまとめて行えるツールを導入すれば、効率的なアドフラウド対策が可能です。まずは、CHEQが提供する無料のセキュリティ診断でbotや不正アクセスの影響を受けていないか確認してみましょう。