テイラー・スウィフトのチケットからブラックフライデーセールまで〜転売ヤーボットがオンラインセールを台無しに | CHEQ

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お気に入りのバンドが街にやってくるというニュースを聞いて以来、あなたはチケットが販売開始されるのを指折り数えながら待っていました。当日の朝、9時ちょうどにチケット販売サイトにアクセスし、きっと購入できるはずと思っていた矢先にポップアップメッセージが表示したのは「チケットはありません」というメッセージです。大ショック! 座席表を必死に眺め、空席を探していると、セクション17Bのチケットがまだ2枚ありました。。ドキドキしながら購入ボタンをクリックすると表示されたメッセージは、「残念ながら、こちらのチケットは売り切れです。」がっくりと肩を落とし、あなたは「コンサートにはいけない」という事実を受け止めなければならないのです。

人気商品をネットで購入することは常に困難でした。しかし、過去数年間で状況は悪化の一途をたどっています。その原因となっているのは、転売ヤーボット(Scalper Bot)という非常に煩わしいボットの増加です。

転売ヤーボット(Scalper Bot)とは、インターネット上で人間のような動作をするように設計されたプログラムで、高速度かつ大規模に実行されます。このような定義は、すべてのボットやオートメーションツールに当てはまりますが、転売ヤーボットの特色は、その名の通り、人気の高いアイテムを購入し、それを超高額で転売するために使用されている点です。転売ヤーボットの利用は残念ながら近年大幅に増加しており、消費者に多大な被害を与えています。

スニーカーやコンサートチケット、
政府サービスの予約まで〜
すべてを狙う転売ヤーボット

つい2週間ほど前、チケットマスター(Ticketmaster) でテイラー・スウィフトのコンサートチケットが転売ヤーボットに買い占められてしまいました。コンサートチケットが購入できず、そのチケットが後に転売市場で到底手の届かないような価格で出回るようになったのを見たファンの「スウィフティー」たちは大きな不満を爆発させました。この事件をきっかけに、米国司法省の反トラスト法調査が行われ、Ticketmaster のようなサイトの運営方法やセキュリティ対策に影響を与える可能性が出てきました。

しかし、転売ヤーボットによる被害はこの一件に止まりません。CHEQ が発表したレポート「ボットや偽ユーザーがブラックフライデーセールに与える影響」では、2021年にはオンライン買い物客の3人に1人がボットであり、EC ショップや広告主に数十億円の被害を与え、消費者がオンラインセールで人気商品を購買することを妨害していることが明らかになっています。PS5のような人気商品は、以前から転売ヤーボットの標的になっており、大きな供給不足を引き起こしている他、NikeShoeBot のような Web サイトは、Nike の靴の購入者に「転売で利益を得る」チャンスを提供する転売ヤー仲介サービスを公然と行っています。Nike 社もこの問題を極めて深刻に受け止めており、「スニーカーボット」に対して反撃の動きを見せています。また、転売ヤーボットの影響は、レストランの予約にも及んでいます。最近の報道では、高級レストランの予約がボットに買い占められていることが指摘されており、顧客が予約を高額で購入できる新サービスまで登場しており、ボット主導の転売市場が生まれる可能性が出てきています。イスラエルでは、競争率の高い政府サービスを受けるための予約がボットに奪われているとの報道もあり、公共部門にも影響が及んでいるようです。今日、ネット予約の世界では、転売、買い占め、ぼったくりなどのボット軍団は、人間の消費者よりも一枚上手のようです。

転売ヤーボットが拡大する3つの理由

ボットによる予約や商品の買い占めなどの不正な購買活動が驚異的に増加しているのは偶然ではありません。この分野の犯罪者にとって、動機、手段、機会のすべてが、完璧に揃っているのです。

動機という点では、オンライン購入に関する資金が今日ほど多くなったことはありません。米国の EC の売上は、2010年時点の1690億ドル(約23兆円)から、2022年には1兆ドル(約136兆円)を超えると予想されています。米国のモバイル決済も、同時期に160億ドル(約2

兆円)から3200億ドル(約44兆円)へと20倍の成長を遂げる見込みです。このような多額の金銭は、「カネのにおいを嗅ぎつける」詐欺師、転売ヤー、その他の犯罪者を惹きつける傾向があります。しかし、犯罪行為の追い風となっているのは動機だけではありません。

現在、ボットはインターネットの半分近くを占めていると言われており、高度なボットのネットワークを構築する手段は非常に身近なものとなっています。基本的なハッキング技術とインターネットアクセスがあれば、15歳の子供でも、コストをほとんどかけずに精巧なボットネットを運用できる時代になっているのです。

これは犯罪者にとって、格好の機会となっています。オンライン詐欺で儲けることができるお金はたくさんある反面、リスクはほとんどないのですから。例えば、2016年に米国でインターネット関連の詐欺で有罪判決を受けたのは、わずか6件でした。現在の「低リスク高リターン」の状況は、犯罪者にとって極めて魅力的なものでしょう。

転売ヤーボットへの対策

転売ヤーボットをめぐる状況は非常にもどかしいものですが、希望がないわけではありません。転売ヤーボットやショッピングボットに対する意識は劇的に高まっており、EC サイトも対策に乗り出しています。アマゾン社は最近、自社のプラットフォームにおける不正トラフィックの報告を開始し、米国連邦取引委員会は現在、転売ヤーボットの活動を禁止する法律の施行を検討しています。しかし、政策やレポートだけでは十分ではありません。大量のボットから消費者を真に守るため、EC サイトはサイバーセキュリティや Go-to-Market セキュリティを導入し、ボットからサイトやショッピングカートを保護する必要があります。ボットによる被害の認知度が高まる中、EC サイトの運営者は将来のビジネスのために、ボットからサイトを保護することの重要性を認識し始めています。

 

※1米ドル=136円にて換算(2022年12月現在)

元の記事:From Taylor Swift Tickets to Black Friday Sales: How Scalper Bots are Winning the Online Shopping Wars

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