MFAサイトとは?広告費用最適化のためのアービトラージ対策ガイド
Yukie
|Web サイト運用・セキュリティ対策 | 2025年5月22日
MFAサイトは、広告主となる企業にとって全くメリットのない存在です。広告費用を最適化するためには、アービトラージ型のMFAサイトに広告が掲載されないよう、対策をとらなければなりません。本記事では、MFAサイトとは何かを解説したうえで、回避するための具体的な対策方法を紹介します。
MFAサイトとは?
MFA(Made for Advertising)サイトとは、広告からの収入を獲得することのみを目的として作られたWebサイトです。通常のWebサイトとは異なり、デジタル広告による収入を得られれば良いという考えのもと作られているため、ユーザー(サイト訪問者)にとって有益な情報は存在せず、質の低いコンテンツが掲載されています。
MFAサイトは、「Made for Arbitrage」サイトとも呼ばれます。「Arbitrage(アービトラージ)」とは、金融用語で裁定取引といい、同じ価値を持つ2つの商品に価格差が生じたときに、高いほうを売って安いほうを買うことで利益を得る取引を指します。たとえば、現物市場と先物市場で価格差が生じたときに割高な先物を売って割安な現物を買う、という具合に行われます。
これをデジタル広告に置き換えると、安いクリック単価の広告を出稿してアクセス数を稼ぎ、見かけの訪問者数(ページビュー)を背景に高いクリック単価の広告を掲載し利ザヤを稼ぐスタイルが、アービトラージです。本記事では、AdvertisingとArbitrageの両方の意味を含んだMFAサイトについて解説します。
MFAサイトの持つ特徴
企業のデジタル広告に関わる担当者は、MFAサイトを見抜けるようになる必要があります。具体的には以下の3つの特徴があります。
広告比率が高い
MFAサイトは、広告収入を最大限に得られるように、ページ内の広告の比率を高くしているのが特徴です。
一般的なWebサイトの2倍以上(デスクトップPCの例では約3割以上)も広告が載っているケースがあります。早いサイクルでバナー広告が自動更新される、スクロールするたびに新たな広告がポップアップされるなどの傾向も顕著です。
低品質なコンテンツである
有益な情報を届けるという目的を持たないことから、品質が低いコンテンツを掲載しているのもMFAサイトの特徴です。
質よりも量を重視してサイトのボリュームを稼ぎ、数多くの広告を表示するので、内容が薄く誤字脱字の多いページが見られます。場合によっては、他のWebサイトや書籍の内容を盗用していることもあります。
また、古い情報が更新されないまま残っているのも特徴です。デザインも、手間をかけずに作成できるようなテンプレート的なものが目立ちます。
SEOが悪用されている
本来であれば、ユーザーに有益な情報を届けて検索結果からの流入を増やすために活用されるSEO(検索エンジン最適化)が、MFAでは悪用されます。
検索エンジンで上位に表示されるようにキーワードを過剰に盛り込んでいるのもよく見受けられます。
作為的に大量のサイト間でリンクを張り合って検索順位を上げる、検索エンジンに実際と異なる内容を表示させてユーザーを騙して誘導するクローキングを行うなど、SEOの悪用方法はさまざまです。
MFAサイトにデジタル広告が掲載されることによるリスク
デジタル広告をMFAサイトに出稿してしまった場合、メリットは何もありません。広告費が無駄に費やされるだけでなくブランド毀損にも繋がります。さまざまなリスクが生じるので、企業や組織は対策を講じる必要があります。
ブランド毀損につながる
質の低い情報の記事を提供し、異常なほど多くの広告を貼っているサイトに広告を出していると、間接的とはいえそんなサイトを「支援」している企業だと思われかねません。低俗な情報や詐欺まがいの記事と自社の広告が「同類」とみなされれば、ブランドが毀損されます。信頼感が下がり、長期的な企業成長や売り上げ向上に悪影響を及ぼす可能性も少なくありません。
広告費を浪費する
MFAサイトに広告が表示されている状態では、広告主である企業は正しい広告の効果は得られません。コンバージョンにつながらない状態でコストのみが発生するため、浪費を招いてしまいます。
ANA(Association of National Advertisers、全米広告主協会)が2023年に行った調査によると、広告費の15%がMFAサイトに費やされていたとわかりました。2024年の調査では、管理の強化により6.2%にまで減少したのは朗報です。
参照元:ANA Provides “First Look” at In-depth Programmatic Media Transparency Study 、ANA Releases 2024 Programmatic Benchmark Study
不正確なデータで広告効果が見えにくくなる
MFAサイトはページビュー数を稼ぐので広告の表示回数(インプレッション)こそ多いですが、ユーザーはすぐに品質の低い内容や数多くの広告に不信感を抱くので、広告をクリックする可能性が低いです。そのため、商品の購入や会員登録などの成果(コンバージョン)を得られないことが大半です。
また、広告が過剰に掲載されているため誤クリックが発生しやすく、動画広告の自動再生などにより実態とは異なる完了率が記録されることもあります。このように収集されるデータが不正確になることで、広告運用における最適化判断を誤るリスクが高まります。長期的な意思決定のミスにもつながり、企業成長に悪影響を及ぼす可能性もあります。
生成AIとMFAサイトの関係
近年は、生成AIによってコンテンツが容易に作れるようになりました。労力をかけず、速やかに記事などを作り掲載できることから、MFAサイトの増加が懸念されています。
ただし、質の高いサイトでも生成AIを活用しているケースはあるため、生成AIを使っているからといって一概にMFAサイトとは判断できません。生成AIには、低品質なサイトを検出し排除に活用できるポテンシャルもあるため、運用次第では広告の品質管理に貢献する可能性があります。
MFAサイトを回避するための具体的な対策
企業はデジタル広告を出す以上は、期待通りの効果を発揮するよう、MFAサイトを回避しなければなりません。具体的には以下の対策が有効なので、実践してみてください。
広告の掲載先を慎重に選ぶ
まず、広告の掲載先を精査する必要があります。広告代理店などに任せきりにせず、広告掲載先のWebサイトが、MFAサイトの特徴に当てはまっていないか、必ず確認してください。
煽情的(せんじょうてき)な見出しや明らかに無料の写真素材の濫用、本文が異常に短くすぐ次のページへの遷移を求められるなどはMFAサイトの疑いがあります。サイトの評判や口コミなどを確認し、ユーザーの信頼度をチェックするのも大切です。
広告の効果測定を徹底する
広告掲載後も定期的に広告の効果測定を実施することも重要です。効果測定時には、インプレッションやクリック率も大切ですが、それらはMFAサイトにより水増しされている可能性も考慮し、コンバージョン率を重視して費用対効果を確認します。不正を対策するツールなどを導入すれば、広告の効果測定や不適切なサイトの検知を効率的に行うことが可能です。
たとえばCHEQは、本当の顧客に広告を見てもらえるように対策ができるソリューションです。限りある広告費を有効に使いたい方は、ぜひ利用を検討してみてください。
まとめ
悪質なMFAサイトへの広告掲載は、ブランドの信頼低下や広告費の無駄遣いなど、企業にとって深刻なリスクとなります。問題の本質を正しく理解し、MFAサイトを避けるための具体的な対策を講じることが重要です。掲載先のWebサイトを慎重に精査し、広告の効果測定を徹底することで、被害を防げます。MFAサイトを回避するための知識と対策を社内で共有し、広告の効果を最大限に高めましょう。